2009年11月5日木曜日
アイデアのちから:チップ・ハース+ダン・ハース 飯岡美紀[訳] 日経BP社 2008
ツイッターを始めてから、言葉の使い方や表現にかなりこだわるようになってきた。140字でものごとを的確に表現することはとても難しいが、その神髄を捉えること、そしてそれを誰もがわかるように短く纏めて表現することを自ら鍛錬し、身につけていくことは自分自身の生き方をも新しいかたちに変えてくれているような気がする。
これまでぼくは冗長な文章を作ることが得意だった。冗談じゃなく。それは、企画書にしろ報告書にしろ始末書にしろ、簡単にひとことですむことを形式的にふくらませてそれなりの形にすることが、ビジネス文書には必要だったからだ。でもこれからはそんな形式主義は、地球全体を覆う未曾有の危機を生んだ旧来の社会システムなんかとともに改革されなきゃいけないんだろう。一事が万事。
今日ご紹介する本は、ぼくも含めこの時代のクリエイティブに働く(働かねばならない)ひとたちにとってたぶん優れた実用書だ。ちなみにあの @kazuyo_k も「自らのネタバレになる」と言いつつ大絶賛しているからその実用性は折り紙付きということだろう。
この本では「成功するアイデアの6つの法則」と呼ぶ「単純明快で、意外性があって、具体的で、信頼性があり、感情に訴えるような、物語性のある」表現でアイデアを「記憶に焼きつく」ものにするという、いわば「創造性の体系化」によってアイデアを広く他人に伝えられる=成功に結びつけることができると述べられる。それによって「あなたの『本来の創造性』がどんなレベルであれ、少し真面目に努力すれば、たいていのアイデアはもっと記憶に焼きつくものにできる」つまり誰でもこの方法でなら優れたアイデアマンになれるというわけである。
おっとこの辺でブーイング?誰でも!じゃアイデアの価値は?そうそう、ぼくもかつては広告屋のはしくれ、アイデアで勝負、アイデアで稼いでいたわけで「ビッグアイデアがビッグマネーを生む」と今でも信じてる。でもね、どんなビッグアイデアも「記憶に焼きつく」ように語られなければ価値は生まれないでしょう。だからこの本はそんなビッグアイデアを持ってるひとこそ読んでほしいわけ。もちろん @satonao310 や佐藤可士和みたいなホントのプロは別としてね。
ちなみにぼくが読んで「記憶に焼きついた」言葉は「パーム・パイロットのような簡潔さと単純明快さ」「人びとの関心をつなぎとめる優れた文章はすべて謎掛けで始まっている」「意外性のあるアイデアは知識に隙間を開け、じらしながら誘惑する」「鮮明な細部描写は信頼性を高める」などなど。この本にはそんな手練手管がいっぱい詰まっている。
きっとこれからの社会は個人の情報力の高まりとともに大きく変わっていくにちがいない。この本はそういう情況においていい参考書になると思う。お薦め。さらにぼく同様ツイッターを始めることも強くお薦め。
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